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2006年8月24日 (木)

映画感想5:ディープインパクト

 ●DEEP INPACT (ディープインパクト)
  監督:ミミ・レダー  (製作総指揮)スティーブン・スピルバーグ他
  主演:ロバート・デュヴァル、ティア・レオーニ、イライジャ・ウッド
  1998年 アメリカ

 以前にも断ったが、僕は映画にはまったく詳しくない。むしろ大変疎い。であるから、これを読んでも怒らないでもらいたいが、僕の頭の中では、次に挙げる作品の区別がついていなかった。「アルマゲドン」「ディープインパクト」「デイ・アフター・トゥモロー」「インデペンデンス・デイ」
 どうも、2000年前後に発表された「洋画でSF的で人類存亡の危機っぽいモノ」が、僕の中ではごちゃ混ぜになっていたようだ。この中で「アルマゲドン」については、TVで放映されたのを、断片的に観たことがあり、だいたいの内容は知っていた。だから、それ以外の作品をちゃんと観てみるかという気になったわけである。

 前置きが長くなった。この作品のいいところは「淡々としているところ」だと思った。僕の記憶が正しければ、似たような--小天体が地球に衝突するという設定--作品である「アルマゲドン」は主人公がヒーロー的で全体的にドラマチックな印象だが、「こっち」はドラマチックではない。だが僕としてはそこがいいと思った。「淡々と」悲劇の瞬間までを描いている。

 アメリカ大統領役のモーガン・フリーマン、あとTVキャスター役のティア・レオーニがよかった。

 しかし厳密なSF作品としては、かなり天文ファンからはツッコミが多かったものと推察できる。僕も天体観測には素人だが、たとえば、とても「ちゃち」な天体望遠鏡でたまたま高校生が発見できる彗星を、地球上の他の多くの天体観測家が1年以上も発見できずに居るわけがない、とか、直径11キロの天体がたとえ彗星の尾を持っているにしても、あんなに大きく見えるはずはない、とか、地球に「向かってくる」天体に対して「こちらから」シャトルで接近するには想像を絶する手はずが必要であろうがいとも簡単に彗星の尾の方向から接近している、など……僕程度でも素朴に感じる疑問がかなりあった。たぶん詳しい人にはもっと我慢できないところがあるだろう。それでも個人的にはなかなかの作品だった。ドラマチックでもなくエキサイティングでもなく、淡々としたところが、である。たぶん多くの映画ファンは「こっち」より「アルマゲドン」が面白いと言うだろうけど…。

 あと、付け加えるなら、あまりにもアメリカ以外の国が出てこない。そしてアメリカ以外の宇宙科学を見くびっているような気がする。ちょっと穿った見方だが…。まあ映画には「尺」の問題がどうしてもあるから、表現しきれていない部分も多いのだろう。説明不足な部分もかなりあったのは残念。

(視聴形態:自宅でDVD)

参考:あゆざかけい映画勝手にランキング

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コメント

 お邪魔します。
 この「ディープインパクト」という作品、ぼくもDVDで観ましたよ。レンタルでしたが。
 確か、この作品の元ネタはワイリー&バーマーの古典SF「地球最後の日」(映画化は1951年のパラマウント。映画のほうもSF映画の古典的名作と言われています)ですね。それに「2001年宇宙の旅」の原作者でもあるアーサー・C・クラークのSF小説「神々の鉄槌」をミックスしたらしいです。「地球最後の日」のリメイク企画と「神々の鉄槌」の映画化企画が予算の都合か何かの問題で統合されて生まれた映画らしいですね。もっとも、その時点でどちらの原作とも似つかない作品になってましたが。
 この映画、ILMの特撮もものすごい迫力で、劇場の大画面で観たかったなというのが、正直な感想です。それと、何よりも驚いたのが、大統領が黒人なんですよ。アメリカ映画の大統領って、それまでは白人ばかり。アメリカ映画も随分と変わったもんだなと妙に関心しましたね。モーガン・フリーマンで大正解。「コレクター」での刑事役も名演でしたが、ほんとにうまいひとですね。ウィル・スミス、エディー・マーフィーだとあの緊迫感はでないでしょう。迫ってくる小惑星に中指立てて叫ぶか、絶望する国民にジョーク連発するくらいでしょうから。
 パニック映画って、派手に盛り上がる描写より、この作品のように淡々と静かに描かれるほうが、怖さが倍増しますね。なんか、現実味があって。ホラーなんかでも怪物がワッ!より心理的に追いつめられていくほうが怖く感じるのと同じなんでしょうが。
 「アルマゲドン」は残念ながら未見です。どうも、当時大騒ぎになっていた「ショーコーショーコー」の宗教団体とイメージが重なってしまって。それに、日本のアイドル歌手MSさんがワンシーン出演してるとか。MSさんが好きじゃないので、観る気になれなくて。
そのうちに観てみようかとは思ってます。
 いつも長々と変なことを書いてごめんなさい。では。

投稿: maline | 2006年8月28日 (月) 11時15分

malineさん、こんにちは。いらっしゃいませ。
ほほう。そのような元ネタ(原案・原作)があったとは存じませんでした。
>大統領が黒人なんですよ。
僕も新鮮でした。今でも黒人差別がある国だと聞いているのに。
>迫ってくる小惑星に中指立てて叫ぶか、絶望する国民にジョーク連発するくらいでしょうから。
(笑)確かにそうですね。この大統領役は渋くてよかったです。
僕も「アルマゲドン」はちゃんとは観てないんですが、「ディープインパクト」を観てから、インターネットの映画評のサイトをいくつか閲覧したのですが、おしなべて、「アルマゲドン」>「ディープインパクト」だったんですよね。ちょうど同じ年に公開されたから比較されるみたいですが…。
でも、個人的にはこういうのはあんまりヒーローモノにして欲しくないので…。

ありがとうございました。
ではまた。

投稿: あゆざかけい | 2006年8月28日 (月) 12時20分

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