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2006年9月 6日 (水)

子供を親の代理競争に使うの?

 先ほど図書館で「中央公論」9月号を読んできた。読んだといっても流し読みであるが…。特集記事は「親力」がどうとか「加熱する中学受験」だとか、そんなキーワードだった。もうひとつの特集記事「睡眠障害」も気に惹かれ、手に取った。
 「格差」という言葉がいろいろな場面で使われだして久しい。そのひとつに「教育格差」がある。小学校も3年生くらいから塾へ通わせ、私立の学校に受験させる親が多いのだそうだ。「学級崩壊」だとか「学力低下」だとか、そういう諸問題は、公立学校でより顕著だと思われているらしい。今の親たちは公立教育機関(中学・高校)を疎んじる傾向があるそうだ。疎んじるというより信用されてないのだろう。私立学校に通わせるには一人当たり年間150万円くらいかかる。それだけかけても、できるだけ親たちは私立学校に通わせたいらしい。特に親自身がいわゆる「高学歴」で職業も「高級官僚」「教師」「医師」などである場合、近年では父親の方が子供の教育に熱心で、なかには「暴力」的な脅迫さえ行い、子供を指導するという…。
 先に関西地方の有名進学校に通う生徒が父親からの「教育的指導」に不満を覚え家に放火する事件があったが、それを思い浮かべた。

 僕は第2次ベビーブーム世代で「受験戦争」を経験している。いまの高校生には信じられないかもしれないが、いわゆる「日東駒専」クラス(ああ嫌な言葉だなぁ)でも、相当勉強しないと入れなかった。
 結果して僕は高校こそ、そこそこの進学校(公立)に進んだが、高校時代の学科成績は惨憺たるもので、本人の努力もなかったため、大学には行っていない。ステータスとしての学歴は決していいものではないだろう。でも、自分の学歴の問題を親のせいにしたことはない。どんな理由があるにせよ自分が選んだことだ。

 僕の世代が子供だった頃にも「教育ママ」という言葉はあった。そして、仕事ばかりで子育てには無関心な父親が「まあそんなに堅いことを言うな」と無責任に母親をなだめる光景が多くの家庭にはあっただろう。母親からすれば「もっと子育てに参加してよ」と文句もあったろうが、ある意味でバランスが取れていた気がする。たまにしか話さない父親からは「社会」をいろいろ学ぶことができたからだ。

 僕は教育問題には疎い。もう中学生の子供が居てもおかしくない年齢ではあるが…。そんな僕が言うのもおこがましいのかもしれないが、言いたい。
 親は親、子供は子供。子供は親から離れてゆくのが普通なのだ。(むしろ、僕のようにこの歳で親と同居している方がおかしいのかもしれない)
 そして子供には自我がある。子供の意思を無視した代理競争ならやめておけ、と…。僕の記憶が正しければ、人には「学びたい」と思う時がやってくる。本当の勉強は本人がそういう意欲を持っていなければならない。それが小学生のうちなのか、中学なのか高校なのか、あるいはもっと先か…。それはわからないけれど…。
 きれいごとかな?

 まあ、確かに、「受験戦争」を経験したからこそ、「中高一貫」で楽をさせたいという親心もあるのだろう。思えば、「いまの親たち」は、僕とそう違わない世代だし…。

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コメント

>> 先に関西地方の有名進学校に通う生徒が父親からの「教育的指導」に不満を覚え家に放火する事件があったが、それを思い浮かべた。

 この事件の舞台となった家庭は、父親が医者でしたね。
 子どもの勉強部屋を「ICU」と呼んでいた、という話を聞いた時には、寒気を覚えました。
 こうなると、代理戦争どころか動物実験に近いものを感じます。
 「この父親、逝っちゃっているなぁ」と言うのが正直な感想です。

投稿: ごまめ | 2006年9月 6日 (水) 21時03分

今日は違った角度からコメントさせてくださいね。
私、まさに「いまの親たち」です
我が家の息子たちも塾通いをしています。
我が家の場合、親の学歴のリベンジではありません。
中高一貫に本人が行きたいと言ったら(多分言うでしょう、まわりをそういう子たちばかりの環境に置いていますから)高校受験で楽をさせるためではなく、何かに一貫して打ち込める6年間を同じ仲間と切磋琢磨しあうことで得るものがあればいいな、と言って送り出すつもりです。
実際に中高一貫校に入ったからといって勉強しなくなるわけではなく、さらに塾に頼らねばならない状況もあるでしょう。
切磋琢磨した仲間や長い目で見てくださる先生から刺激を受けて大学進学を希望したらそれは目的を持って受験に臨めるのではないか、とも考えます。(入学だけが目的では通用しない時代になっているようですし)
まぁ、理想論に近いのですが、塾の授業自体は楽しいそうです(息子談)。塾に行かせるのは学びの楽しを知る間口を広げるため、でしょうか。

投稿: とまと | 2006年9月 6日 (水) 21時37分

コメントをいただいた方、誠にありがとうございました。
親にもなっていないこんな僕の言葉は、もしかしたらご不興をかったかもしれません。
僕はいまの時代の流れを否定する気はないのです…。
僕はただ漠然とした未来への「恐怖」と「憂い」を感じてしまうだけなのです…。
…今日はもう休みますので、返信は明日以降させていただきます。

投稿: あゆざかけい | 2006年9月 6日 (水) 22時47分

再びお邪魔します。
どうかご自分を責めるようなことがありませんように…
こんなことを考えて通塾させている親もいますよ、という程度で軽く受け流してくださいね。

投稿: とまと | 2006年9月 7日 (木) 00時01分

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子供の学力格差は今後の少子高齢化社会に向けて真剣に考えないといけない問題と思われます。(このトラバが迷惑な場合、削除願います。) [続きを読む]

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