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2006年9月 7日 (木)

子供を親の代理競争に使うの?:返信に代えて

 昨日の記事の返信に代えて。

 柄にもなく、教育に関することを書いてしまいました。僕はいい歳して独身で、子育てなどしたこともないくせに…と自分でも思いながら。昨日はあのように申し上げましたが、もしも僕が親になることがあったなら、やはり時代の潮流には逆らえないでしょう。自分の子供の将来を考え、できうる限りのよい教育を与えてやりたい。それは親として当然のことだと思います。

 僕は…いうなれば、漠然と「未来」に対して「不安」と「憂い」を持っている…それだけなのです。

 昨日の記事では触れませんでしたが、「中央公論」9月号の特集記事の中には、いまの流れの中で育った世代が、将来の日本の指導者となることへの一抹の不安が書いてありました。ここで言ういまの流れとは、教育における格差を当然のものと認識し、自らも同じような階層(教育における階層)の人間としか交わらない、ということを指します。

 僕の子供世代とは違い、いまは普通にインターネットなど、時間と距離を越えたコミュニケーションが可能となりました。(「ウェブ進化論」でいうところの「チープ革命」) しかし、その珠玉混合の膨大な情報を手に入れるにはパソコンなどの最低限の環境を得ていることが前提となり、やはりその部分でも「持つもの」「持たざるもの」が発生します。そしていまのネットという仮想空間には、あるときはとても醜悪に映りますが、その人間の本性というか本音が含まれています。(某巨大匿名掲示板など)

 それらを目にすると近年の子供や若者に明らかな階層意識が生まれている印象を持ちます。現に、近年の新卒で会社に入る人の中には、上司や先輩から仕事を頼まれても「嫌です」と平然と断る者が少なくないそうです。階層意識にもいろいろあると思いますが、多いのは「学歴」です。「あの上司は高卒だから自分よりも劣る人間だ。そんな人の下では働きたくない」という、昔なら冗談としか思えないことを、結構本気で思っている人が居るようなのです。

 昨日の記事でも言いましたが、僕は子供が自分の意思で(それが親が誘導したものであっても)いろんなことを決めたのであれば、それを尊重すべきですし、大多数の子供はそうであろうと思います。ただ、一部メディアによって誇張されている傾向もあるようですが、親自身が「選民意識」を持ち、その歪みを自分の子供でさらに強くする…。一握りの人々かもしれませんが、そんな親子も居ると思うのです。

 あらゆる場面における「格差」「階層化」は、なかなかとまらないと思います。個人的にはとても嫌ですが…。でも、ならばせめて次世代のリーダーとなる人たちには、歪んだ選民意識は持って欲しくないのです。そういう人が上に立つ社会に、僕は「恐怖」さえ感じるのです。そして、いまの親たちには、子供にそういう歪みとは正反対のバランスのよさを持たせて欲しい。そんなことを思ったわけです。

 どうか少しでも未来が明るくなりますように…。

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コメント

あゆざかさんへ

 実は私も、中学生の頃「将来」に対する
「不安」と「憂い」を抱き、ピィーターパンシンドローム
 に成り、登校拒否児となって、自分の世界に、
 閉じこもっていた事があります。
 
 当時、10歳年上の兄の様な存在の叔父が、東大で、
 哲学と宗教を研究していて、本で部屋が埋め尽くされ
 布団がひけなく成ると、ダンボール箱に本を詰め、
 私の所へも送られて来るのでした。

 そして、ある時、自分が抱いていた全ての疑問の
 答えを見出す事が出来た、一冊の本に出会いました。

 それが聖書です。

「うつ病」に長年苦しめられてはいても、
 希望を持って、生きて居られるのは、
 聖書からの慰めが在るからなんです。

かもめ

投稿: かもめ | 2006年9月 7日 (木) 10時29分

こんにちは
難しい問題ですね、確かに。
子どもが自分の置かれている環境を意識して優越感や劣等感を持ちやすい情報の波が以前よりも多く押し寄せていることは確かですね。
バランス感覚を子どもたちには見につけてほしいと切に思いました。
考える材料をありがとう。。。

投稿: とまと | 2006年9月 7日 (木) 15時37分

>かもめさん
 いつもありがとうございます。
 聖書。確かにまともに読んだことがないですね。
 僕はそもそも宗教哲学は昔から好きで、特に入信するなどではなく、たとえば仏教の本などもたまに読んでました。
 聖書もそういう意味ではいろいろな含蓄があるはずですよね。最近は図書館にも行くようになりましたので、読んでみようと思います。

>とまとさん
 なんというか、たびたびすみません。m(_ _)m
 そしてコメントありがとう。

投稿: あゆざかけい | 2006年9月 7日 (木) 16時13分

「子供を親の代理競争に使うの?」シリーズとそれぞれのコメントを読んで考えてしまいました。
使うんです。親は子供を。
過去の私は紛れもなく「私の代理競争に子供を使っています」の親でした。
子供達が自分の人生を使って気づかせてくれてから、過去のものになりました。
でも、価値観を変えていく作業は苦しくて長い戦いです。
この記事を読んで、いつのまにやら少々変わっていたことに気づかされました。

投稿: ロイくん | 2006年9月 7日 (木) 17時06分

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