映画感想10:A.I.
● A.I. ARTIFICIAL INTELLIGENCE (A.I.)
監督:スティーブン・スピルバーグ
原案:スタンリー・キューブリック
主演:ハーレイ・ジョエル・オスメント
2001年 アメリカ
これは観る人や状況によってかなり評価が分かれる作品だと思う。客観的にはまあまあの作品なのだろう。扱っている題材がとても難しいことも考えれば「よくできている」といえる。しかし僕はけっこう観るのが辛かった。少なくとも精神的に疲れている人が観ていい作品ではない気がする。
手塚治虫ならこの題材をどう描いただろうか。
時は未来。気候変動により都市は水没、人口は減少し子供を産むにも政府の許可が必要な時代。ロボット科学が著しく進歩を遂げ、それは大量に世に出回り、人間とロボットとの確執も芽生え始めた時。あるプロジェクトは「愛」を持つロボットを開発した…。
本物に似せれば似せるほど違和感が増す、ということはよくある。ロボットもそうで、人間に近いものを作ると却って異なる部分が強調される。そのあたりがうまく表現されていると思った。しかしだからこそ、なんともいえない気持ちの悪さも感じる。
前半は本当に心臓に悪い展開。後半は主人公であるデイヴィットが狂おしいまでに母の愛を求めて人間になるための道を探す。人に優しくない未来の演出は、敢えてだろうか、とても気味の悪さを感じた。むしろまともに思えたのは「現代の廃墟」が舞台となる終盤の30分くらいだろうか。
観る者に何も残さないような空気のような作品とは違う。その意味では決して愚作ではない。だが人を選ぶ作品。泣ける人は泣ける。僕は違ったけど…。SF映画としてはかなりの出来だと思う。
(視聴形態:自宅でDVD)
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