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2006年9月10日 (日)

耳をすませば 出会いと奇跡の物語

 昨日(映画感想11:耳をすませば)に引き続いて「耳すま」についてです。

 一晩明けて、今日の午前中にも再び「耳をすませば」を流して観ました。だめだ、やはり泣ける。何でかわからないけど…。こうなると柊あおいさん著の原作にも興味がわきます。原作を探すのを動機にして近所のコミック・インターネット喫茶に行きました。残念ながらそこには原作は置いてなかったですが、インターネットでいろいろ検索しました。
 まず、昨日の感想記事にも追記をしましたが、僕がこの作品を観るきっかけとなった朝日新聞の記事は8月26日土曜版「be」でした。それが朝日新聞社のウェブサイトにありました。映画を観たうえで、改めてこの記事を読むと、こみ上げるものがあります。(昨日の僕の記事には記憶違いによる若干の表現の違いがありましたが、修正する必要まではないと判断し敢えてそのままとしました)

 この映画の舞台のモデルになったところは、東京の多摩地区、京王線聖蹟(せいせき)桜ヶ丘駅付近だと言われていることは昨日も書きました。いくつかの「耳すま」のファンサイトには、実際の風景の写真などが掲載されていました。何でも、物語の舞台となった丘は通称「耳丘」だとか…。でもその「耳丘」も、心無い一部のファンのために今では立ち入り禁止とか…。どうかマナーを守った上でいつまでも「耳丘」として愛されて欲しいです。

 前述のように、漫画喫茶には置いてなかった原作本ですが、コミック文庫として2005年に出版されていることをネットで知りました。それを受けて近所の書店に。すると、ありました。「耳をすませば」(柊あおい著:ISBN4-08-618338-2)
 思いのほか映画と近い部分が多かったです。逆に言えば映画が原作を大切にしたのでしょう。そして前述の朝日新聞記事にもありましたが、作者の柊あおいさんとしては、とても思い入れがあったのにも関わらず、連載は不人気で短く終わってしまったようです。そのあたりについては、このコミック文庫版の巻末に柊さんご本人が「作者あとがき」として語られています。

 この「作者あとがき」 僕はこれを読んで、また泣いてしまいました。映画「耳にすませば」の誕生秘話が書いてあり、それこそまさにこの映画のキャッチフレーズでもある「出会いと奇跡の物語」だと思えたのです。
 僕はアニメ製作には詳しくないですが、世に出ている創作作品の多くが、複数の人間が関わることで初めて完成するということは知っています。映画はそれこそ多種多彩な人々の力の結集だし、漫画にしても作者以外に編集者・校正・印刷・デザインなどが絡みます。一人の力ではとうていなし得ないことを、複数の人が力を合わせることで実現しているのです。そこでは「人と人とのつながり」が生まれます。そして逆に「人と人とのつながり」が作品を生むのです。
 監督をされた近藤喜文さんは、1998年に惜しまれつつ47歳という若さで急逝されたそうです。図らずもこの「耳をすませば」が近藤さんにとっては最初で最後の監督作品となったとのことです。
 原作者自身の思い入れに反して一度は挫折しかけた作品。それが宮崎駿さんの目に触れ映画化に。そして近藤喜文さんが監督を務めたからこそ出来上がった作品。まさに「出会いと奇跡」によって生まれたのが映画「耳をすませば」 僕はこの「作者あとがき」を読んでそう思いました。

 このコミック文庫版「耳をすませば」には、劇場公開時のパンフレットに掲載された近藤監督と原作者柊あおいさんとの対談なども転載されています。

 家族を含め「人」と関わりあうことはとても辛いときがあります。人は人を癒す者であると同時に最も人を傷つけますから…。それも現実なのですが、それでも「人と人とのつながり」によって思いもかけないものが生まれることもある…。そんなことを思った昨日今日でした。

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コメント

こんばんわ。
これって、「宮崎駿さん」の作品ですよね。
「耳をすませば」は、見たことがないけど・・・。
・「となりのトトロ」や「もののけ姫」や「平成ぽんぽこ合戦」や「千とちひろの神隠し」や「風の谷のナウシカ」や「天空の城のラピュタ」、あ、そうそう、忘れちゃいけない「ルパン三世・カロリストの城」が、思い付きますね。
いずれも、少しなら見たことがありますけどね。
あゆざかけいさんは、知っていますか?。

投稿: H・K | 2006年9月10日 (日) 20時02分

H·Kさん、こんばんは。
「もののけ姫」は残念ながら未見です。それ以外は知っています(^O^)
やっぱり年齢的タイミングの問題でしょうか…「ナウシカ」「ラピュタ」などは僕はちょうど中学生でしたし、「カリ城」に至っては小学生だったはずです。それはもう鮮烈に覚えていますよ。「カリ城」は確かに外せませんよね。
でもすべての作品が宮崎さん「監督」ではなかったはずです。「ナウシカ」なんかは原作から演出·監督まですべてが宮崎さんですが…。
「耳すま」はそういう意味では宮崎色は強くない作品です。主人公は「コナン走り」してますが(*^_^*)
派手なアクションもないし、はらはらどきどきの展開もないです。
でも僕は泣けるんですよね…。

コメントありがとうございました。

投稿: あゆざかけい | 2006年9月10日 (日) 20時47分

 「耳をすませば」に感動してくれる方がいてとても嬉しいです。
なぜかといえば、ぼくもスタッフのひとりでしたから。スタッフといってもそんなに大げさなものではなく、本編にはまったくタッチせず、主題歌である「カントリーロード」のレコーディング時にミュージシャンとして参加させていただいただけですが(オカリナを吹いてました)。スタジオには近藤監督とシプリの鈴木プロデューサー、そして宮崎駿さんもお見えになっていて、特に宮崎さんはレコーディング中は終始にこにこと微笑まれていて、なんだかお釈迦様のように感じましたね。
 レコーディング後、宮崎さんの作品のファンですということで紹介をいただき、いろいろお話させていただいたのですが、ぼくの初めての宮崎作品との出会いが「ミミちゃんとパンダ・パパンダ・コパンダ」ですというと苦笑されていました。なにせ小学校入学前の作品でしたが、主題歌を口ずさむと、マニアなんですねと一言。
 ぼく自身、宮崎作品は「カリ城」「ナウシカ」「ラピュタ」「トトロ」など、毎度映画館で観させてもらいましたが「トトロ」と「魔女の宅急便」では、劇場で大泣きしてしまい、一緒にいった友人にバカにされてからは、ビデオやDVDで観ることにしました。
 「千と千尋」で久しぶりに劇場復帰しましたが、前半の丁寧な描き方が後半(かくでしたっけおかっぱの男の子と千が竜に乗って飛び回る辺り)からストーリー展開が早いというか、あいだが抜けたというか、着いてゆけなくなってしまって・・・。それからはシプリ作品は敬遠していました。
 昨日、友人に誘われて、「ゲド戦記」を観に行きましたが、サイテーでしたね。宮崎さんが監督に息子さんの起用を反対されたのもわかるような気がします。ちょっと荷が重すぎたのかなと。
 ルグィンの原作があまりにも奥が深すぎて、映像では伝えるのはやっぱり無理だったかと。監督さんやスタッフの熱気がどこかで空回りというか、ある意味彼等がかわいそうだったなと同情もします。あるいは、原作の大ファンだったぼくには合わなかっただけかも知れません。感動も泣きもなし。「うつ」が原因なんでしょうかね・・・。

投稿: maline | 2006年9月11日 (月) 15時58分

malineさん いらっしゃいませ。
そうでしたか。あの「カントリー・ロード」を。
楽才には縁がない僕からしてみれば、あのようなすばらしい創作作品の作成に関与されたとは、改めて敬服する思いです。

「ゲド戦記」はちょっと興味はありましたが、いろんな評判が入ってくるので、僕も敬遠気味ではありました。まだ観てないですが。

一方で、今日も「耳をすませば」についての記事を投稿してしまいました。大げさかもしれませんが、運命の出会いとも思えるほど感動しました。この作品には。
今では、オープニングの「カントリー・ロード」が流れる場面ですでに涙です(笑)
この作品は技術的にもすごいと思いました。特に聖司がバイオリンを弾いて雫が合わせて歌う場面。あれをアニメーションで表現するのには、並大抵の作業ではないはずです。

いい作品にめぐりあえたと思っております。
コメントありがとうございました。
どうぞまたお越しください。

投稿: あゆざかけい | 2006年9月11日 (月) 17時07分

 度々お邪魔します。
 聖司のバイオリンに合わせて歌う雫のシーンは、音を先(つまり本名さんの歌とバイオリンの音を先にレコーディングして)に作り、それに合わせて絵を起こす方法が使われたそうです。ディズニーでよく使われる手法なのですが、日本には(特にシプリ)高畑勲さんという、その手法の名手がおられますので、まさに真骨頂なシーンでしたね。高畑さんにその手法を伝授したのは、日本アニメ界の育ての親と言われる大塚康生さん。宮崎さんも彼の元で学び、師匠と高畑さんとともにルパンや「太陽の王子ホルスの大冒険」(昭和43年東映作品)という、日本アニメの最高傑作と今も言われる作品を作り出してきた方です。
 現在、日本セルアニメの技術水準は世界一と評されますが、それもみな先人たちの並々ならぬ苦労あってこそのこと。
 アニメ好きというとオタクだとか、あまりいいイメージではありませんが、もっともっと日本のアニメを好きになってください。
 「耳をすませば」を気に入っていただきありがとうございました。あゆざかさんは近藤監督がこの作品に残したメッセージをきちんと受け止められているご様子。監督も天上で喜ばれていることと思います。

投稿: maline | 2006年9月11日 (月) 17時35分

malineさん
本当にありがとうございます。
malineさんのコメントをお読みして、僕は泣いちゃいましたよ…。

投稿: あゆざかけい | 2006年9月11日 (月) 17時50分

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