コミックス:とりぱん 野鳥観察エッセイがいい
●とりぱん 1巻~2巻(続巻)
とりのなん子著、講談社ワイドKCモーニング
動物ものでエッセイに近い。そして4コマである。それも野生動物。野鳥がメインである。ありそうでなかった斬新なジャンルといえよう。
僕はマンションに住まう人だが、ベランダがそこそこ広く、うちの親などはちょっとした園芸めいたこともしている。加えて低層階であるためか、スズメがよく訪れる。以前、しばらく来訪するスズメ(同一スズメかどうかは不明だが「ちゅん子」と呼称)に気を遣い、パンくずやごはん(米)の残りなどを皿に入れて置いておいた。ベランダに人が居るときには絶対に来ないのだが、近くの塀や電線のうえに何気なくとまっている。「ちゅんちゅん」と声がする。アレは絶対に何か会話しているに違いない。
人が家の中に入り、しばらくすると「ちゅん子」が2~3羽で恐る恐る近づいてくる。少し口につまんでは、そこでゆっくり食べればいいのに、急いで遠くに持って行って食べる。食べている間もしきりに周りを見回し、警戒を怠らない。だが、そんなしぐさが妙にかわいい。スズメは歩いたりしない。ぴょんぴょん跳ねて移動する。それもかわいい。
そんなことがしばらく続くと、「ちゅん子」たちも慣れたのか、人が居てもかなり近くに来たり、いつの間にか人数(?)が増えてきた。4~5羽くらいならいいのだが、やがてもっと増えてきた。これはたまらんと、皿を引っ込めた。いまではたまに「ちゅんちゅん」と声が聞こえるだけだ。
……というわけなので、僕にはこの「とりぱん」の内容がけっこう身近に感じられる。アオゲラのポンちゃんもいいけど、僕はそんなわけでちゅんちゅんスズメがお気に入り。ああでもツグミも好き。「貧乏性」なところが(笑)
作者のとりのなん子さんは、実に自然との距離感がいい感じだ。過剰なまでに保護しようというのでもない。自然に自然と向き合っている。作品からはそんな風に思える。猫のミーちゃん(体重8kg)にもいろいろ気を遣っているし(笑)
実を言うと僕は、虫が異常に苦手。子供のころは平気で近所の草むらに居るこおろぎなんかを捕まえたものだけど、なぜか今ではもうダメ。(だいいち、いまではもうこおろぎが住む場所などあまりなくなっている) 加えて潔癖症気味なので、僕にはおそらく「野イチゴ」は食せないだろう。そんな僕としては、だからこそ良いバランス感覚を持っている作者がうらやましくもある。
鳥の世界には口コミがあるというのは僕も同意見だ。少なくともスズメはお互い情報交換をしているはず。(前述参照)
作者自身の体験から生まれた話は実に含蓄深くもある。僕としてはネタに困ったからといって、変に面白く創作しないで欲しいと思う。実際にある出来事を作者の視点で描くからこその独特な味があるのだから。
最後にお礼。面白い作品を教えてくださったそこそっこさん。ありがとうございました。
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コメント
こんばんわ。
自分も、「虫」は苦手ですね。
「ミミズ・ゴキブリ(これって、虫かな。)・蛾」が、ダメですね。
投稿: H・K | 2006年10月21日 (土) 21時46分
さっそく読んでくださってありがとうございました♪。
私もツグミの「つぐみん」が好きです。ヒヨちゃんにいじめられながらも一生懸命で健気ですよね(笑)。
鳥だけでなく、雪国ならではエピソードも興味深く読んでいます。作者さん、広い庭のある家に引っ越して家庭菜園を始めたとか。そのへんの話しも楽しみです。3巻早く出ないかな~(2巻が出たばかりなのに・・・)。
楽しんでいただけてホッとしました(^.^)。
投稿: そこそっこ | 2006年10月22日 (日) 21時28分