返信に代えて:仕事とは職業とは…
社会の中で生きる限り、仕事は自分という人間を構成する一部としては無視できない。昨今は、ちょうど「男女雇用機会均等法」の施行から20年を迎え、女性の「均等法第一世代」の方々が管理職になりつつある時代だと言う。この前TV「クローズアップ現代」で特集をやっていた。自分の仕事にプライドを持ち信念を持ち、苦労の中にも充実している女性の方々の姿が印象的だった。
僕は、彼女たちから6~8歳ほどは年下の世代で、いわゆる「団塊ジュニア世代」と定義づけされている世代である(この呼び名は「団塊世代の子供」と誤解されがちであるが、そういう意味ではない。第二次ベビーブーム世代と言い換えても良いだろう)。
僕の会社では、同期社員の女性はほとんどが退職してしまった。その多くは結婚を理由にした退職だった。また男性の同期もかなり辞めた。転職の者も居たが、中には仕事が辛くなり突然会社に来なくなってそのまま退職してしまった者も居る。僕もそうなる危険性はあったし、今後もどうなるかわからない。
世代によっても仕事観、職業観は違うのだな、と思う。僕の同期社員が次々と辞めた一方で、前述した「均等法第一世代」の方は社内でも管理職に登用されるなど、男女ともに頑張っている。
昨日いただいたコメントに「自信と責任感とやりがい」というキーワードがあった。いままでの僕はどうだったろうか。考える。
個人的に僕がいままで仕事について大切にしてきたのは「誠実さ」だった。無論、これは自分が大切にしているつもりでも、他人からはどう思われているかは定かではない。それに、ある程度社会を見通すとわかるが、世の中で上手く生きていくには「誠実さ」は却って邪魔になることもある。言葉は悪いが「狡猾さ」が必要な場面が多い。
考えて、僕は実のところ、「自信と責任感とやりがい」はあまり持っていなかったと思う。「責任感」くらいは人並みだったかもしれない。でも、「自信」「やりがい」については、あまり感じた記憶がない。
以前、まだ休職中で復帰のことなど考えることもできなかった頃に書いた記事がある。(「仕事」「職業」(1)) 僕は続きを書こうと思いつつ、まだ書けずに居る。
上記の記事にもあるとおり、僕は一度、いまで言うニートになりかけた。そんな僕にとって、社会人になることは、それだけでもう自分のキャパシティを超える出来事だった。白状するが、僕は入社して新入社員研修に入った途端「辞めたい」とばかり考えていた。だから同期社員とも距離をとるようなことをしていた。そんな僕が気が付くとその年度に入社した社員のうち、数少ない「辞めずに残っている人」だというから人生はわからない。
僕は最近、僕よりも十年も先輩で、もと上司、いまでは違う所属で管理職として頑張っている方から、ある言葉をもらった。
世間的にもメンタルな病気になることが多いといわれるような、このシステム開発の現場で20年以上にも亘って第一線でご活躍されているその方には、本当に敬服する思いだった。そのことを伝えた。するとこんな風な返信をもらった。
「私も今後、定年までこの世界で第一線でやっていける自信はないです。正直に言うと子供の養育やローンの返済などのために働いています。生真面目に考えなくてもいいのではないでしょうか」
こんな風な意味の言葉だった。
先に述べたように、僕は社会人となってからすぐに「辞めたい」と考えるような、ヘタレである。いままではとにかく目の前の仕事に必死だっただけで、将来のことも考えず、よく言えば「真面目」だが、悪く言えば「盲目的に」走り続けてきた。その中では、「自信」や「やりがい」を感じるような余裕すらなかったと思う。
いま言えることは、「生きる」ために仕事をする。僕にとってはこれだけ…。こんな僕の姿勢について失望される方も居るかもしれない。でも、それがいまの僕にとって素直な仕事観、職業観である。
でも、それでもいいのではないかと思う。仕事に向き合う理由に、それ以上の何かが本当に必要だろうか。
もう少し時間がたてば、また何かが見えてくるかもしれないけど…。
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コメント
こんばんわ。(・ω・)/
自分は、「勤務13年目」です。
(職業は、家具工員・塗装作業関連「そんなに、偉くない所」)
今の職業に関しては、「あんまり満足」していませんね。
理由は、「人間関係」にあります。
「1つの仕事のミス」で、上司が腹を立ち、「暴力行為」をするんんですね。
しかも、「怪我を負わせるぐらい」の程度ですよ。
結局、「休まず真面目に取り組んでいる」感じみたいですね。
そんな毎日な感じですね。
(あんまり、関係のない文ですいません。でも、これは事実です。)
投稿: H・K | 2006年11月18日 (土) 22時32分
くりにゃー、無職です! ハロワに失業者登録してるから、分類上はニートじゃないけど、当人に職探しする意志が弱いから、まぁ、ニートと同じかな。
ニート生活は、病みつきになるから、怖いよー。お金がどんどんなくなっていく怖さもあるけど、社会復帰できないんじゃないかという怖さはあるよー。
会社に通ってないと、友達できないし。くすん(/_;)
あゆざかけいさんが生き残った理由は、もしかして、気を悪くしたらごめんね。
たぶん、勇気がなかっただけじゃないかなぁ。
就職先をかえる、というのは、よっぽど勇気がいることです。次の会社でちゃんとやっていけるのか、とても不安です。(だいたい雇ってくれる次の会社があるのか、それ自体が不安です。)
入れた会社にしがみつくことは、勇気がない、ことかもしれませんけど、今の時代はそれが正解です。転職はかなりのリスクを伴います。(上司のかたがローンのため働いている、というのはそれが理由と考えられます。)
バブル期のヘッドハンターが横行していた時代ならともかく、今の時代では、外に出ることは、キャリアを失うことになります。
うつだから、自分に自信がなくなって「この会社では自分は必要ない存在なんだ」と思うことがあるかもしれません。
でも、辞めてはいけません。辞めた後、自身のない人間を雇ってくれる会社なんてありません(しくしくしく(ノД`))。
無謀な、無計画な勇気はいいものではありません。そんな勇気など願い下げです。
今の会社で、自分を取り戻していくことを、強くおすすめします。
(しくしくしく(/_;))
投稿: くりにゃー | 2006年11月18日 (土) 23時44分
確かに世代によって職業感が変わっているのは事実。政府が無策なんだよ。京都に私の仕事館というアホな建物がある私の仕事は外回りだから近くまで行った。その建物はみんな働いて居る人の失業対策保険でつくられたとさ。安倍内閣は再チャレンジできる仕組みをつくるといっていたけど。私は馬鹿な大学行った為研究開発職なんか希望しても絶対につけない。会社をやめたら設計をやっているわけではないので再就職先はないんだわ。ニートになるほかないんですわ。やれること選挙で自民党と石原に票を入れないことことです。美しくない日本を美しくする一つの手段だと確信している。
投稿: たかでん | 2006年11月19日 (日) 00時52分
あゆざかさん、こんにちは(^^)
「仕事=やりがい」でなくても全然いいと思います。私の場合はたまたま趣味が仕事になってしまっただけの話で、逆にそれが災い?してうつ病になっているのだから、世の中、何が良くて何が悪いというだけの価値観では量れないと思います。
ただ「やることを好きになる」努力はしたほうがいいんじゃないかと思っています。同じ仕事を、嫌々やるのと楽しんでやるのとでは、その結果に大きな差が出る気がします。
うつ病になって、仕事のこと、家庭のこと、これから先のことをちょっと考えたときに、何となく頭の中にそんなことがよぎりました。
またお邪魔します。では(^^)
投稿: かな | 2006年11月19日 (日) 11時07分
マズローだとそれは低次な欲求になるね.
もちろんそれはそれでOK.
ただ,生活だけ,生きるだけ.それは社会的欲求では満足できない日も来る時があるんじゃないかな.
元上司の方の言う事も理解できるよ.
ただ,あゆざかさんに気を使ってくれた発言かもしれないし.
心と体が良くなれば,状況も変わるだろうから,今は今でOK.ただ,ずっとそれだけでは,仕事に対する自分の満足が低くなると思う.
自分も病気が回復するに,社会的な欲求が変わると思う.
投稿: HAWK2700 | 2006年11月19日 (日) 13時55分
ワタシの場合、同じ技術者として尊敬していた先輩に、『仕事は結局自己満足だよ。』って言われました。何かやり遂げたって感じたり、今日も1日終わったか~って清々しく感じる事。色々と感じ方は違っても、会社って社長でさえ居なくなっても、何事も無かったの様にあり続ける。だから、自分の気持ちが大切なんだって言って居ました。
結局、その先輩に、ワタシでさえ無理だって分る事を、相手の言いなりに成って、勝手にワタシの図面を修正して出してしまい、その仕事がボロボロになって、ワタシもボロボロに成ってしまったんですけどね。
投稿: しん | 2006年11月19日 (日) 16時31分
こんばんは
けいさんは問題とがっぷり四つに組み過ぎちゃうところがあるんじゃないかな?(って私はいつも正面突破しようとして失敗してるって言われてるのよね)
私たちよりも上の世代の方っていわゆる「女子大生ブーム」の世代の方々。いろいろな面を見、バブルも人生を謳歌できたんだよね。
で、もうちょっと下は「女子高生ブーム」でやっぱり世間の脚光を浴びた世代。そしてバブルももうはじけていたからそういう意味で生きていくことにシビアな面に就職活動の時から経験している。
私たちって隙間世代だなぁ~っていつも思うよ。
映画を楽しく鑑賞するために働く、そんな風に今はとらえても気が楽になるような気がします(いい作品と出会うため、いい音で画質で観るため、なんてね)
投稿: とまと | 2006年11月19日 (日) 17時45分
92年入社だとすると、まさにバブルがはじけますよ、て時の入社だから、まだ氷河期は始まってないとしても、入社直後に仕事が減っていく・会社が成長しないという危機感の中で鍛えられたのではないかな。
それゆえ、仕事に対して、まじめに取り組むように鍛えられたのではないかな。それは誇りに思っていいと思うけど。
(あなたより上の世代は、鍛えられるべき時期にバブルでろくすっぽ苦労もせずに仕事をしてきたために、鍛えられないまま歳を取ってしまい、甘ちゃんな上司になっている可能性があります。それはそれで、当人としてはとても苦しいのだけれどね。今更取り返せないから。)
(あなたより下の世代は就職氷河期で、とにかく入れればいい、という姿勢で就職している人もいると思います。それは本人にとっては不本意な就職ですから、モラール(意気)もあがらないし、仕事に楽しさは覚えられないかもしれません。それはそれで不幸。)
(いまの好景気の新人は、わからん。どんな意識なんだろ。)
投稿: くりにゃー | 2006年11月20日 (月) 02時26分