空想科学を斬る:ロケットエンジン
NHKニュースで、つくば宇宙センターに国産初のロケット「H2ロケット」(全長約50メートル)が展示されている、という紹介がありました。ロケットは、広く人々に親しまれているもので、人気がありますね。コミックスやアニメの世界でも古くから「ロケットエンジン」を思わせる推進装置が描かれ、宇宙船といえば後方に向かって炎を出す「ロケット」のイメージが形作られました。古くは「宇宙戦艦ヤマト」も、最初に補助エンジンを始動させて、メインである波動エンジンに点火して発進します。「起動戦士ガンダム」のホワイトベースは確か、原子力エンジンでしたね。
ロケットエンジンの原理はとても単純で、物理学でいうところの「作用反作用」の原理です。進みたいと思う方向とは正反対の方向に物体を放出することで、その反作用としての推力を発生させています。つまり、単に燃えているだけではなく、「推進剤」という物質を高速で放出しているのです。
一般的に「無」から「有」を生み出すことは困難とされています。つまり宇宙船にはあらかじめ推進剤として放出するための「何か」を積んでいることが必要なのです。少なくともロケットエンジンの原理で推進するためには。
僕がとても好きなSFアニメ作品にガイナックスの「トップをねらえ!」があります。その作品はエーテル理論など、昔に否定された物理学を設定の一部に使うなどの遊び心があふれています。中でもぞくぞくするのが「亜光速飛行」です。バスターマシンやエクセリヲンなどのカッコいい宇宙船は、一瞬にして亜光速の世界に飛び立ちます。
しかしながら、現実のロケットエンジンでは、亜光速どころか、毎秒数百キロメートルの速度でさえも、到達することは難しいでしょう。理由は上にあげたように、ロケットの原理が「推進剤を後方へ放出する時の反作用で進む」というものであるためです。より多くの推進剤を宇宙船に積むことは、そのまま宇宙船の質量の増加につながります。質量が増加するということは、「加速しにくくなる」ということなのです。これはロケットエンジンが抱える大いなる矛盾なのです。
いきなりマイナーになってしまいますが、かつて「月刊アフタヌーン」に連載されたロボット的コミックス「砲神エクザクソン」(作:園田健一)という作品では、宇宙を進むために「重力制御」を使っていました。つまり進みたいと思う方向に「落ちる」ようにするのです。
人類が太陽系の外辺、もしくはその向こうの世界に進出するためには、ロケットエンジンではない新しい推進理論が必要でしょう。それが見出されるのが十年後なのか百年後なのか、もしくは来ないのか…。それまでは空想科学として、みんなで遊ぶことにしましょう。
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コメント
ラムスクープを使えば、初期推進剤の質量の問題はなくなるよ。直径100kmくらいの磁場のスクープで星間物質を拾って、連続型融合エンジンに入れて、後方にプラズマと光子を放出すれば、それなりに進めるよ。
ブルーバックスの石原教授のご本に詳しいにゃ。
投稿: くりにゃー | 2007年4月21日 (土) 20時33分
お返事です。
>くりにゃーさん
おおー。ラムジェットですね。
あれってどれくらいの速度が出るんでしょうね?
太陽系の外辺に生きた人間が普通に到達するには、少なくとも光速度の100分の1単位の速度が必要でしょう。
ブルーバックスは、昔から好きで読んでいます。
でもその本は多分読んでないです。情報ありがとうございます。
投稿: あゆざかけい | 2007年4月22日 (日) 15時12分
こんばんわ。
・これに「関連」して。
(「SFアニメ」繫がりで。)
自分も、やはり「ガンダム」ですね。
後、「車」のエンジンで、「GDIエンジン」と言う名前が、思い付きますね。
投稿: H・K | 2007年4月22日 (日) 20時09分