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2007年10月28日 (日)

マリみてSS:二条乃梨子のドキドキの一日[乃梨子][瞳子]

 実のところ、とても気になってはいた。

 少なくとも乃梨子は確実に、昨日が、新聞部のバレンタイン企画でいうところの「半日デート」の決行日であることを知っている。

 瞳子が祐巳さまと……。
 一緒に出かけたはずなのだ。

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★いつものように書店めぐり雑感として書こうとも思いましたけれど。即興でSSなどを書いてみました。マリア様がみてる「薔薇の花かんむり」記念です。二次創作ですので、そのあたりをご理解いただける方は、続きをご覧ください。

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★2007年10月29日追記: 当ブログではなく、別に新規ページ(あゆざかけいHP内)を立ち上げました。今後はそちらが最新版となります。

 実のところ、とても気になってはいた。

 少なくとも乃梨子は確実に、昨日が、新聞部のバレンタイン企画でいうところの「半日デート」の決行日であることを知っている。

 瞳子が祐巳さまと……。
 一緒に出かけたはずなのだ。

 そして、そうしたうわさはすでに流れていた。
 宝探しのイベントからみて、次の次の日曜日である。
 順当に考えれば誰しもその可能性を考えるはずだった。

 うわさ好きで、基本的には無害だが若干デリカシーに欠ける無遠慮なクラスメイトたちの手が、瞳子に及ぶという懸念はある。

「昨日、紅薔薇のつぼみとのデートだったって本当?」

 といったような質問責めである。

 瞳子のことだ。そういったものに対して無警戒であるはずはないとは思うけれど。
 乃梨子は内心で、とてもはらはらとした気分にさいなまれていた。
 それが、この真冬の空気がまだ残る冷たい朝の中、いつもよりずいぶんと早い登校となった原因でもある。

 だから乃梨子は、同じくかなり早い時間に1年椿組に現れた瞳子に、ずっと話しかけ続けていた。質問ではなく、乃梨子自身についての些細な話題ばかりを。他のクラスメイトが割り込んで来ないように。
 瞳子は、運動部でもなければ、そもそも部活動自体していない乃梨子がすでに教室にいたことに驚いた様子だったけれど、理由は訊いて来なかった。
 ただ、乃梨子の話に、ちょっと笑みを浮かべながら、時折うなずいているだけだった。

 昼休み。
 何か大切な用事があるのだろう。チャイムが鳴るや、瞳子は真剣な面差しで教室を一人で出て行った。
 そして午後の始業チャイムと同時くらいに戻ってきた。

 何か……。
 乃梨子にも言葉に表せない何か。
 何かが、午前中の瞳子とは違う感じがした。

 それは、たとえて言うならば、今まで背負っていた重い荷物を降ろして、肩の力を抜いているような、そんな感じだった。
 何があったのか、乃梨子はとても気になったけれど、こちらから訊くことはためらわれた。瞳子が乃梨子の言葉を寄せ付けない雰囲気を醸し出していたとか、そういったことではない。むしろ、瞳子はいつもの仮面をはずしているようにすら見えた。
 そのことがさらに、乃梨子の方から質問をできなくしていた。
 何故かとてもドキドキしてきた。
 胸の高鳴りが邪魔をして、こちらからはどうしても訊けなかった。

 放課後。

 そろそろ年度末のイベントに向けて慌しくなってくるはずの薔薇の館に、乃梨子は一番に訪れた。
 ……つもりだったけれど……。

 先客がいた。

「瞳子……」

 果たして、先客は瞳子であった。
 予感はしていた。していたけれど。

 見ると、瞳子は雑巾を絞っている。
 まさにこれから乃梨子がやろうとしていたことだ。
 事実上現役を退いている三年生の薔薇さま方を除くと、いまの薔薇の館の住人は二年生の次期薔薇さまお三方と、「白薔薇のつぼみ」である乃梨子。この四人だけである。
 もちろん二年生のお姉さま方は、雑用を乃梨子の一手に任せようとは微塵も思ってはいないけれど。やはり上下関係が厳しいリリアンである。最も若輩である乃梨子が率先してやらねばならないことだった。

「乃梨子」

 瞳子は気付いて、ビスケット扉のそばで呆然と立ち尽くしている乃梨子を、ちょっと呆れた感じで、それでも笑みを浮かべながら、ため息交じりの声で呼んだ。
 リリアンの生徒の中で、乃梨子のことを呼び捨てにしているのは、いまのところお姉さまである志摩子さんを除けば、瞳子くらいだろう。
 別段、友達が少ないとか、そんなわけではなく。他の友人たちはリリアンの伝統に従った呼び方をしているだけである。
 瞳子は、乃梨子のことを、少なくとも他のクラスメイトたちとは一線を画した位置づけで扱ってくれているようだ。
 そしてそれは、乃梨子にとっての瞳子も同じであった。

「今日の乃梨子は落ち着かないわね」

「瞳子……」

 乃梨子はまだ呆然としていた。
 瞳子は苦笑ともつかない、あいまいな、それでいて自然な笑顔を向けている。

(何故、瞳子がここで掃除をしているの)

 瞳子の、その笑みを見れば……。
 予感が確信に近づいてくる。

 ドキドキと胸の高鳴りが激しくなってくるのが自分でもわかる。

「乃梨子。あなたも手伝って」

「あっ、う、うん!」

 あわてて、乃梨子も掃除用具を手にする。

(瞳子が掃除を手伝ってと言う。ということは…)

 乃梨子は、もういたたまれなくなっていた。

 その時、ビスケット扉が再び開いた。

「ごきげんよう、乃梨子。あら? 瞳子ちゃん?」

 乃梨子のお姉さまである志摩子さんも目を瞠った。

「ごきげんよう、白薔薇さま」

 瞳子は悠然と挨拶をして見せた。

 志摩子さんは、けれど驚きをあえて抑えて、いつもながらの聖母のような、ふわりとした微笑とともに返礼をした。

「ごきげんよう、瞳子ちゃん」

 そのすぐ後には由乃さまも現れた。
 こちらはもっと露骨に驚いた様子だった。

「と、瞳子ちゃん?」

 と、思いっきり仰け反った。

「ごきげんよう、黄薔薇のつぼみ」

 やはり泰然としている瞳子を、由乃さまはもう目をまん丸にして見ていたものだった。

 ……そして。

 しばらく後に現れたのは、当代「紅薔薇のつぼみ」であり、もうすぐ「紅薔薇さま」となる、福沢祐巳さま。
 その方の口から、こう発せられたのだ。

「瞳子」

 ……と。

FIN
ver.1.00 2007/10/28

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 即興ですけれども。
 去る10月2日発売のマリア様がみてるシリーズ最新刊「薔薇の花かんむり」の行間を埋める拙い文章であります。一応マリみての流儀にはなるべく則ったつもりです。乃梨子視点です。
 感想を書こうと思いつつ、体調などの問題でなかなか書けずにいましたので。どうせならと先ほど急に思い立ち、感想代わりにSSを書いてみたりしました。

「薔薇の花かんむり」の感想ですけれど。

 もう新刊の帯に書かれている「ここに姉妹誕生」という文字が思いっきりネタバレでしたけれど、まあさすがに今回でもまだだったりしたら、全国のファンがもだえ苦しんでしまったことでしょう。

 ファーストインプレッションとしては、「ちょっと物足りないかな」と思ったり、「リリアンかわら版の号外の件で、祐巳と瞳子がすれ違ってしまうのかな」とはらはらしたりしました。そのはらはらはまったくの杞憂でしたけれども。

 なんだか、作中の時間が一気に進んでしまった感があります。祐巳視点で物語の「本筋」が2歩も3歩も進んだようです。まあいままでずっと停滞していましたから、これはこれでよかったとは思いますけれど。
 できるなら後からでも良いので、このときの他の人物視点のサイドエピソードを原作では書いていただきたいです。特に瞳子視点、何にも替えて瞳子視点ですね。その次に乃梨子視点が欲しいかな。

 今回は志摩子さんの下記の言葉がとても印象的。

「私、飲むわ」

「私、踊るわ」

 志摩子さんが言うから、笑えてしまうのですね。

 あと、新聞部の困ったちゃん、築山三奈子さまも。初めて名前が明かされた演劇部部長も。「もってけ泥棒」の美術部部長も。今回はさまざまな人の動きが見られて良かったですね。

 なにはともあれ、「瞳子ちゃんおめでとう」記念としての即興SS+感想でした。

★このブログは基本的にはあゆざかけいの日記がメインです。
(しかもメンタルヘルス関係の話題が多いです)
 今回は原作を知らない方にとってはまったく意味不明の内容となっています。そしてSSも突発的に書くことはあっても、定期的に書くことは多分ないです。そのあたりをご理解いただけると助かります。いろいろとすみません。m(_ _)m
(SS本体の方は、そのうち「あゆざかけいHP★」の方に保管する予定です)

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