カテゴリー「耳をすませば」の11件の記事

1995年公開のアニメ映画で僕にとっては特別な思い入れがある作品。それに関する事。

2009年1月24日 (土)

いつか行ってみたい場所。

 2006年8月26日、朝日新聞の土曜版「be」に、京王線聖蹟桜ヶ丘駅周辺と、1995年7月に公開されたアニメーション映画「耳をすませば」とを紹介する記事が載った。

 紙も取っておいてないし、当時公開されたURLから消えてしまったので残念に思っていたのだけれど、違うURLで残されていた。

月島雫と天沢聖司
東京・多摩-愛の旅人-トラベル

 この記事は何度読んでも泣けてくる。

 僕も同じ東京都民であるし、行こうと思えば、都営新宿線に乗れば簡単に行ける(都営新宿線と京王線は直通なので)。でも、なぜだか、いまだに行けていない。なぜかな…。

 「耳をすませば」の公開から13年以上が経過しても、なお熱心なファンの方がたくさん居て、有志の皆さんにより、「せいせきハートフルコンサート」というイベントが開催されている。今度の1月31日で第4回になるのだそうな。

 いつか行きたいものだ。

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2009年1月16日 (金)

良き歌よ…心のために音楽を…。

 近年はすっかり某ポータブルオーディオを初めとした機器が出回って、ますます音楽との距離が近くなっているみたい。…でも、僕は相変わらず、聴くときと聴かないときの差が激しい。基本的には携帯していないので、音楽からは遠ざかっている方かも知れない。
 これでも、中学時代は合唱部だったんよ(陸上と二足わらじ)。僕の声を知っている人からすると多分、到底信じがたいだろうけれど…。混声四部合唱でパートはテノールね。

 …。

 今年はスタートからタイトな感じで、苦しい。ここ数日はようやく慣れてきた感じがするけれど…。

 苦しいときに、ふとよぎるメロディ。いくつかあるけれど、やっぱり「カントリー・ロード」は良いな。名作映画「耳をすませば」の日本語バージョンが何といっても良い。

 …。

 「合唱でYEAH!」さんというサイトで見つけた「カントリー・ロード」のMIDI。これを聴いて、無性に原曲が聴きたくなる。「耳をすませば」バージョンの編曲がまたすばらしい。1番、2番が終わったあとの間奏メロディからラストまでは本当にすばらしい。

 映画感想のページでも言っておりますが、やはりこの映画は特別です。

 この歌を聴いて、眠ろうかな。

(特にリンク制限はないようでしたのでリンク貼らせていただきました。お気づきの点がありましたらコメントでご連絡ください)

m(_ _)m

p.s.「耳をすませば」映画の主題歌の編曲は野見祐二さんです。(サントラのガイドより)

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2008年8月 9日 (土)

昨日と今日の日記:かなり省略…暑いんだもの。

 昨日の日記は省略。一言で言うと仕事が遅いな僕はってこと。今日の日記もかなり省略。まあ簡単に言うならば、暑いさなかクリニックに通院し、帰りにTSUTAYAによって、CD売り場で流れていた音楽の中にカントリーロード(Take Me Home Country Roads)のメロディがあって、それが「theジブリset」というCDなのだということが分かって、でもそれは買わずに前述した「for 30's generation」を買ってしまったり…。そんなところだ。
 上でのリンク先にあるアルバムのコメントを読むとこう言いたくなる。「ジブリの音楽は久石さんだけだと思わないでね!」(現に「耳をすませば」の音楽は野見さんだ)

 明日も月に二回の内科に行かないと。

 あいかわらず書きたいことの10分の1も書けていない。

 皆様コメントいただいているのにお返事ができずにすみません。

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2008年2月22日 (金)

今日の金曜ロードショー:耳をすませば

 TV放映やっていたのね。普段TV観ない人なので気が付かなかった。10時30分くらいから観始めたら、ちょうど雫が「試し」をやろうとしているところだった。

 DVD持っているけれど、TV放映で観るのも良い。なんというかライブ感みたいなものもある気がする。民放(日本テレビ系)なのでCMが入るのが残念だけれど。

「耳をすませば」は僕にとって特別だ。

 一昨年、僕も雫のように「試し」をやってみようと思ったのだった。それが復職のきっかけでもあった。

「ジブリ作品」とか「宮崎駿さん」とか、そういうキーワードで語られる場合が多いけれど、厳密には、最初で最後の「近藤喜文さん監督の作品」なのだ。

 13年前に製作された、間違いなくセルアニメの傑作にして名作。思いっきり主観が入っているけれど、これは譲れないなぁ。

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2007年5月26日 (土)

思い出の歌やコミックス…世界は淡くつながっている…

 奥にしまいこんで大切にされていたCDパッケージたちがありました。厳重に保管してあったため、15年以上も前に買ったものなのに新品同様です。学生時代(主に専門学校生時代)によく聴いていた、谷山浩子さん、遊佐未森さんのアルバムです。このお二方の歌は、文学作品のようで好きでした。

 遊佐未森さんを知ったきっかけは、当時、谷山浩子さんと似たようなカテゴリーで語られていたためでした。
 谷山浩子さんを知ったきっかけは、若くして亡くなられた漫画家、みず谷なおきさんの人気作「人類ネコ科」でした。この作品のヒロインの名前「谷山舞奈」の由来が、「みず谷なおきさんが大ファンであった谷山浩子さんがとてもマイナーだったことから」ということが、「人類ネコ科」の単行本に書いてあったのです。

 みず谷なおきさんは、寡作ではありましたが、とても好感の持てる作風をお持ちであり、好きでした。日本の漫画界にとって、惜しい人を亡くしたと思います。
 高校時代から名ばかりの浪人時代、専門学校時代にわたっていろいろなコミックスやコミック誌を集めていましたが、当時、学研「ノーラ」(長谷川裕一さんのSF傑作「マップス」などを生み出した誌です)、新書館「ウィングス」(いまほど女性向けではなかったです)などの月刊誌を特に気に入っていました。ノーラのアンケートに僕はいつも「みず谷なおきさんを連載陣に加えてください」と書いたものでした。

 遊佐未森さんの特に初期のアルバムはとてもお気に入りでした。
 現時点で僕内部における映画ランキングで第一位である「耳をすませば」(1995年:スタジオジブリ・近藤善文監督)の音楽を手がけた野見祐二さんは、1993年頃、遊佐未森さんのアルバムをプロデュースされたらしいです。
 なんとなく、世界は淡くつながっていると思うのは気のせいでしょうか…。

 遊佐未森さんのアルバム「空耳の丘」を聴きながら…。

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2007年1月13日 (土)

音楽:丘の町 (作曲:野見祐二)

 現代人というか都会人(?)としては稀有なことにろくな音楽再生機器を所有していなかったので、昨年末にCDラジカセなどを購入した。そのときにあわせて買ったCDを最近、繰り返し聴いている。12年前のアニメーション映画「耳をすませば」のサントラだ。どの曲も良いのだが、「丘の町」および「丘の上、微風あり」 この曲が特に好き。

 ジブリ映画の音楽といえば「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」などを手がけた久石譲さんが有名だけれど、野見祐二さんの「耳をすませば」もすばらしい。イメージアルバムの「夜明け」も良い。CD絶版になってなくて良かった。

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2006年12月30日 (土)

数年ぶりに秋葉原に行きました。

 目的は昨日の記事にあるように、音楽を聴く環境を欲するようになったので、その環境を整えるためです。思い立ったが吉日というわけではありませんが、あまりこの件で長く引っ張るつもりはありませんでした。
 目的があって期限もあって予算もあるということは、これも一種の「プロジェクト」です。

 以下に今日のプロジェクトの計画と実績を記します。

<計画>
●目的:そこそこの音楽鑑賞ができる環境を整える
●期限:2006年12月30日
●予算:ハードウェアは1万円前後
    ソフトウェアは1万円未満程度
●要員:1名
●実施箇所:秋葉原
●内容:CDラジカセ1台、ヘッドフォン1式、スタジオジブリ「耳をすませば」関連CDソフト、「魔女の宅急便」関連CDソフト
●付随的内容:「11人いる!」のDVDが見つかればそれも含める

<実績>
●目的:達成
●期限:達成
●費用:
 ハードウェア:CDラジカセ1台+ヘッドフォンで約1万2千円弱
 ソフトウェア:CDソフト3枚で約7千円弱
 内訳
 ・TKCA-72746 耳をすませば サウンドトラック
 ・TKCA-72745 耳をすませば イメージアルバム
 ・TKCA-72758 カントリー・ロード 本名陽子
 その他:昼食代680円、交通費260円
●実施箇所:秋葉原
●内容:詳細は後述

 秋葉原には実を言うと30分もしないで行けるのですが、今の僕にとっては遠出と言えましょう。会社以外で徒歩圏を脱出したのは数ヶ月ぶりであり、現に秋葉には少なくとも2年は行っていませんでした。
 一応東京人であり、そんなに遠くもないので、秋葉原についてはそれなりに熟知している気でいましたけれど(一応裏も表も)、あまりの様変わりに驚きました。つくばエキスプレスの開通によって駅は広くなっているし、Yodobashi-Akibaなるヨドバシカメラの巨大な店があったり、駅前にはメイドさんのコスプレをした方々が居るし……ちょっと別世界?

 午前中はヨドバシ様子見、石丸でソフト買い
 とりあえずどんなもんかとヨドバシ秋葉を様子見。ゲームと玩具のエリア以外はそんなに混んでいなかったのは午前中だったからだと、後からわかりました。確かに広かったですね。でもそんなに驚愕するほどではなかったです。秋葉に店を出すのならこれくらいじゃないと勝負できないでしょう。確かに日本最大級ではあります。
 ゲーム売り場が並んでいましたね。人が。今の僕には別世界なのでスルーしてTVとかポータブルオーディオのところへ。大画面TV。うーむ、確かに欲しくなるよなぁ。その気持ちが最近ようやくわかってきました。
 ラジカセ売り場を発見。大体の品揃えや値段を確認し、その後はソフト売り場へ。うーむ。ここは「普通」でした。このソフト売り場は秋葉にしては「普通」過ぎる。後になってこのヨドバシの上層階に巨大なソフト屋があることがわかるのですが、このときは気付かず、昔からご用達の石丸電気に。
 石丸電気のソフト売り場は昔から個人的ご用達だったのです。売り場が本店のほか3号店など複数に点在しているのが難ですが、言えば全店を探してくれるシステムになっています。ここは「普通」ではないのです。明らかにアニメ関係の品揃えを重視していて、通販以外で店頭で探す場合、ここに置いてなかったら他のどこにもないだろうと思えるほどです。僕は観たことも行ったこともないですが、よく声優さんのサイン会などのイベントも行われるようです。(特に3号店かな) もっとも、そういう方向性だけなら、秋葉にはもっと濃い店がたくさんありますけれど…。
 とりあえず石丸本店に行きました。ここは石丸の中では内容的には比較的「普通」ですが、とても探しやすく、最初にチェックするにはいいところです。
 ジブリ関係のCDやDVDがコーナーとしてありました。普通にほぼ全種類そろっているのが秋葉ならではです。「耳をすませば」関連のCDについては何はともあれ大人買いすることにしました。「魔女の宅急便」については、サントラ集というものとイメージアルバム、その他いろいろありました。2枚組みのドラマ編などもありました。これはちょっと内容を調べてからにしたほうが良さそうでした。僕は純粋に映画音楽として「魔女の宅急便」の音楽が聴きたかったのです。あの、キキが街の上空をゆっくり昇って行くときに流れる音楽です。(ああ曲題が知りたい)
 「11人いる!」は石丸本店には無かったです。他の店も探せばあるかもしれませんでしたが、まだ買い物はあるので、それも次の機会としました。

 秋葉では昼食に贅沢はいえない、かな?
 アキハバラデパート(駅ビル)の1階は昔から食事がありましたが、どうも落ち着きません。(なんか今年いっぱいで閉店と書いてあったな) Yodobashi-Akibaの上層階にはレストラン街があるようなので、そっちに行きました。昼時でしたけれど、たくさん人が居ました。ヨドバシのビルをエスカレーターで昇ると人がうじゃうじゃ居ました。さっきは午前中だったから人が少なく見えたのだとわかりました。
 レストランもどこも混んでいて、とても落ち着けそうにありません。僕は割り切ってラーメン屋に入りました。カウンターの方がかえってゆっくりできるだろうと思ったのです。でも案内された席が落ち着ける席ではありませんでした。僕の右では店員がいろいろしゃべりながら作業をしているし、左では中国人の方と思しき男女がもう食べ終わったのに長々としゃべっていました。

 インピーダンスって何?
 昼食を終えた僕はそのままヨドバシの階下に向かいました。ハード関係はここで買おうと思いました。先にヘッドフォンを見に行きました。一番大きいものは最後にするのが良いのです。(本当か?)
 ヘッドフォン売り場にはこんな注意書きがありました。
 「大出力の専用アンプなどにはインピーダンス100以上を、ポータブルオーディオなどは32前後を選ぶと良い」
 へぇー。そうなのか。ところでインピーダンスって何? 何となくその値が大きいものほど高い気がする。
 それはよくわかりませんでしたが、要するにラジカセ程度のために高いヘッドフォンは必要ないということはなんとなくわかりました。それでもけっこう迷って(迷うべきところはそんなに無いはずなのに)以下の製品を選びました。

●日本ビクター(Victor JVC) HP-RX300
 インピーダンス32
 出力音圧レベル100dB/1mW

 ハイポジションテープ非対応だなんて!
 ようやくラジカセ本体です。自分の部屋に置く場合を考えると、リモコンはかなり重要であることに気が付きました。そしてSDメモリやHDDなどに対応した機種もありましたが、そういう高級機にはもはやカセットなどはついていないこともわかりました。カセットといえば、いま売り出されているほとんどのラジカセ(高級機も含む)で、ハイポジションやメタルテープに対応していない事実を知りました。
 僕がかつて使っていたCDラジカセはわりと大きいタイプで、ハイポジションテープの録音再生、メタルテープの再生に対応していました。買ったのが1990年ですからね。CDをカセットに録音編集するのが流行って久しい時期です(そしてやたらと重低音が強調された時期です)。媒体であるカセットテープもいろんな種類があって、そんなに細かい違いが普通の人間にわかるわけないだろうと思いつつも、周波数特性なんかを見て、高音が伸びるハイポジションテープなどといって買ったものです。そんなハイポジに、このような未来が用意されているとは…。わからんものです。未来は。

 ……えーと。そういうわけで、いろいろありましたが、下記の機種を買いました。昨日ネットで調べたところではSONYのCFD-E100TVというやつが同じ価格帯で売れているようでしたが、現物を見ると、どうもCD格納のギミックが特殊。壊れやすそうなイメージを抱いてしまいました。パナソニックも良いものがありましたが、メーカーの好みなどもあり、東芝となりました。

東芝(TOSHIBA) TY-CDK3

 家に帰ったのは午後も後半でした。家に帰ってからもセッティング(といってもラジカセなんでたいしたことはないのですが)などでもいろいろあって、自分のこととはいえ、とても疲れました。そういう意味では今日でよかったのかもしれません。

 ちょっと尻すぼみな今日の記事でした。

p.s. 「耳をすませば」のサントラの中には、もしかすると、あの方の音も入っているのかな? いずれにしても良い音楽です。

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2006年9月15日 (金)

心に残る長編アニメ作品一覧

 先日、久しぶりに心を揺さぶられるアニメ映画(耳をすませば)を観た。そこで、心に残る長編アニメ作品一覧などというページを作った。かなり衝動的な行動で…。作ってみると、もうずいぶんと久しく観ていないことに気づいた。そして過去に感動した作品も、感動した事実は覚えていても内容を忘れていたりする(汗)。こんなものを公開したところでどうなるの? とは言わないお約束。僕の備忘録でもあるしね。
 ついでに、あまりにも放置状態だったウェブページに最低限の修正を加えた。これも衝動的な行動。
 そんな午前中でした。

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2006年9月11日 (月)

「耳をすませば」とニヒリズム

 一昨日昨日に続いて「耳すま」の話です。今回でひとまず区切りにする予定です。

 「ウェブ進化論」でいうところの「チープ革命」が進んでいるいま、様々な情報、玉石混交の情報が、ダイレクトに手に入ります。それは同時に、見たくもない知りたくもない情報が嫌でも目の前に突きつけられることでもあります。情報に振り回されないことが重要な時代です。
 いきなり何を言うのかと思われるかもしれません。僕はたまたま一昨日に「耳をすませば」というアニメーション映画を観て、その感想を書きました。その後、僕はこの作品について他の人はどう思っているのか知りたくなり、ネットでいろいろと検索しました。
 すると、中にこんなような趣旨の情報がありました。「耳をすませば」は凶器だ、みたいな…。詳しくはここには書きませんが、要旨はこうです。あの作品は舞台が現代で実際の街をモデルにしているためとてもリアリティがあるが、それがかえって、現実の自分と主人公たちとの違いを意識させ、とても暗い気持ちにさせる、というのです。
 また、今年の3月にTV放送されたらしいのですが、そのときには某有名掲示板において、独身成人男性を中心とした人たちによる一斉書き込み(祭りというらしいです)があったとか…。

 まあ気持ちはわからないではないです。僕もこの歳で独身だしうつだし…。マイナスの要素を挙げようと思えばいくらでも出てきます。
 でも、僕はこの作品を観て、前述のような心境にはなりませんでした。僕は本当に主人公の月島雫(つきしましずく)に感情移入して、最後にはとても暖かな感動につつまれました。

 この違いはなんだろうな。僕は考えたのです。
 幸せの尺度とか人生観とか、そんな部分なのかな、と思いました。
 ちょっとネタバレになりますが(これくらいはいいでしょう)主人公の月島雫は、天沢聖司(あまさわせいじ)と出会うことをきっかけとして、恋に恋し、日々を漠然と過ごす子供から、恋を知り、目標を発見し、だからこそ悩む大人へと、一歩を踏み出します。
 天沢聖司は中学生でありながらバイオリン職人という目標を見つけ、それに向けてまい進しています。雫はこの聖司を見て「自分と同い年なのに」と自分が何の目標も持たずに漠然と過ごしていることに焦りを感じます。しかし、聖司や親友の夕子の言葉などから、自分の中に「やってみたいこと」があることに気づきます。
 そしてこの物語は雫と聖司がある約束と決意をする場面で終わるのです。

 僕がこの主人公たちと同じ歳(中学3年:15歳)の頃はどうだったかを考えると、明確な目標なんてなかったし、きれいなドラマになるようなことも、たぶんなかったです。良い記憶よりも悪い記憶の方が多いです。現実を見て、実際に中学3年の時点で聖司のような志を持っている人は、確かに少ないかもしれないです…。
 でもだからといって、この物語を非現実的だとは思えないのです。不思議ですよね…。

 僕はこう考えています。
 架空の人物ですが、天沢聖司が夢に見たバイオリン職人。彼がたとえば10年後、25歳の時点で、まだこの夢を持っているか。もしくは実現させているか…。そのことと、彼が15歳の時点で決意した夢。それとこれとはまったく「別の話」なのです。
 子供の頃に夢見たことが実現されなければ人は不幸でしょうか? 子供の頃に特定の夢を持たないことは不幸ですか?
 僕は違うと思うのです。
 人生はゼロか100かではありません。
 人は常に変わり行く存在です。移ろい行くものです。それはときにあきらめと呼ばれ、ときに成長と呼ばれます。まったく何も知らない存在から、人と関わり社会に接することで、いろいろなことを学び、そして変わって行きます。
 この映画の終盤で主人公はある老人から言われます。「雫さんの切り出したばかりの原石をしっかり見せてもらいました。(中略)慌てることはない。時間をかけてしっかり磨いてください」
 僕はここでいう原石はすべての人の中にあるし、そして磨きはじめるのに早いも遅いもないと思うのです。そしてまた、原石はひとつとは限らないのです。

 自分を含めたすべてのことに対して、虚無的(ニヒリズム)な見方をしたくなるときはあります。ましていまの社会は、人をニヒルな世界に誘う誘惑でいっぱいです。僕にとってこの映画は、自分の中にある原石を刺激し、ニヒリズムを打ち消してくれる、心のサプリメントのような存在なのかもしれないです。

 前述しましたが、この映画は二人がある決意と約束をする場面で終わります。その約束の内容も、ニヒルな見方をすると「ありえない」ということになるのですが、僕はそう思いません。二人は世間を何も知らない中学生なのです。そんな純粋な二人だからこそできる「約束」…
 僕にはそう思えてなりません。

 三回連続で「耳をすませば」について書かせていただきました。最後に一ファンとして、若くして急逝された近藤喜文監督、そして原作者の柊あおいさん、さらにこの作品を生み出してくれたすべての方々に敬意を表したいと思います。ありがとうございました。

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2006年9月10日 (日)

耳をすませば 出会いと奇跡の物語

 昨日(映画感想11:耳をすませば)に引き続いて「耳すま」についてです。

 一晩明けて、今日の午前中にも再び「耳をすませば」を流して観ました。だめだ、やはり泣ける。何でかわからないけど…。こうなると柊あおいさん著の原作にも興味がわきます。原作を探すのを動機にして近所のコミック・インターネット喫茶に行きました。残念ながらそこには原作は置いてなかったですが、インターネットでいろいろ検索しました。
 まず、昨日の感想記事にも追記をしましたが、僕がこの作品を観るきっかけとなった朝日新聞の記事は8月26日土曜版「be」でした。それが朝日新聞社のウェブサイトにありました。映画を観たうえで、改めてこの記事を読むと、こみ上げるものがあります。(昨日の僕の記事には記憶違いによる若干の表現の違いがありましたが、修正する必要まではないと判断し敢えてそのままとしました)

 この映画の舞台のモデルになったところは、東京の多摩地区、京王線聖蹟(せいせき)桜ヶ丘駅付近だと言われていることは昨日も書きました。いくつかの「耳すま」のファンサイトには、実際の風景の写真などが掲載されていました。何でも、物語の舞台となった丘は通称「耳丘」だとか…。でもその「耳丘」も、心無い一部のファンのために今では立ち入り禁止とか…。どうかマナーを守った上でいつまでも「耳丘」として愛されて欲しいです。

 前述のように、漫画喫茶には置いてなかった原作本ですが、コミック文庫として2005年に出版されていることをネットで知りました。それを受けて近所の書店に。すると、ありました。「耳をすませば」(柊あおい著:ISBN4-08-618338-2)
 思いのほか映画と近い部分が多かったです。逆に言えば映画が原作を大切にしたのでしょう。そして前述の朝日新聞記事にもありましたが、作者の柊あおいさんとしては、とても思い入れがあったのにも関わらず、連載は不人気で短く終わってしまったようです。そのあたりについては、このコミック文庫版の巻末に柊さんご本人が「作者あとがき」として語られています。

 この「作者あとがき」 僕はこれを読んで、また泣いてしまいました。映画「耳にすませば」の誕生秘話が書いてあり、それこそまさにこの映画のキャッチフレーズでもある「出会いと奇跡の物語」だと思えたのです。
 僕はアニメ製作には詳しくないですが、世に出ている創作作品の多くが、複数の人間が関わることで初めて完成するということは知っています。映画はそれこそ多種多彩な人々の力の結集だし、漫画にしても作者以外に編集者・校正・印刷・デザインなどが絡みます。一人の力ではとうていなし得ないことを、複数の人が力を合わせることで実現しているのです。そこでは「人と人とのつながり」が生まれます。そして逆に「人と人とのつながり」が作品を生むのです。
 監督をされた近藤喜文さんは、1998年に惜しまれつつ47歳という若さで急逝されたそうです。図らずもこの「耳をすませば」が近藤さんにとっては最初で最後の監督作品となったとのことです。
 原作者自身の思い入れに反して一度は挫折しかけた作品。それが宮崎駿さんの目に触れ映画化に。そして近藤喜文さんが監督を務めたからこそ出来上がった作品。まさに「出会いと奇跡」によって生まれたのが映画「耳をすませば」 僕はこの「作者あとがき」を読んでそう思いました。

 このコミック文庫版「耳をすませば」には、劇場公開時のパンフレットに掲載された近藤監督と原作者柊あおいさんとの対談なども転載されています。

 家族を含め「人」と関わりあうことはとても辛いときがあります。人は人を癒す者であると同時に最も人を傷つけますから…。それも現実なのですが、それでも「人と人とのつながり」によって思いもかけないものが生まれることもある…。そんなことを思った昨日今日でした。

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